ホフマンピアノのレクチャーコンサート&試弾会の日程が決まりましたので、ご案内します。
ホフマンピアノの特徴や国産ピアノとは異なることを演奏やピアノの構造説明を通して体験する良い機会です3月6日(日)午後1時30分〜
カーサデルムシカ多治見教室
司会・説明:堀江佳紀(ホリエピアノ研究所代表取締役)
レクチャー・演奏:千藤伸寿(カーサデルムシカ代表 CEO)
要予約ですので、前もってお電話かFAXでお申し込み下さい。
070−6534−8136(千藤)
FAXは0574−65−7905
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昨日12月17日、多治見教室にW.HoffmanのT-177が納品されました。
早速、ファーストインプレッションを。
驚いた。小型のピアノ(ヤマハで言えばC2〜C3の間のサイズ)にも関わらず、音のボリュームが凄い。
この感覚は初めてスタインウエイのSを弾いたときと同じ感覚だ。ピアノはサイズではないと改めて解らせてくれるピアノだ。八王子のセンターで弾いたときにはあまり感じなかったが、16畳程度の部屋に入れてみてビックリだった。更に試して行く。先ずは中低音の弱音を確かめよう。
弾く曲はベートーヴェンの月光ソナタ1楽章だ。よく言われていることだが、この曲はペダルを踏みっぱなしにして弾いての幻想感を必要とする。まるで、印象派の作品だ。中音の音の作りはさすがにベヒシュタインだ。音に深みと厚さがある。まるで良い響きのチェロを思わせるような暖かさだ。低音は余分な高次倍音を含まない安定した響きだ。ペダルをクォーター(4分の1)の状態で弾いてみる。濁り無くハーモニーが重なりつつ消えて行く。とても心地よい。低音の上に内声のアルペジオがたなびき、旋律が浮かび上がる。指でのスピードコントロールによるダイナミクスも良好のようだ。良いバランスで曲が作り込める。
さあ、次はヴァイオリン音域でのメロディーラインを確かめよう。
弾く曲はショパンのノクターンOp9−2だ。高音域は僕にとって少々やっかいな問題をはらんでいる。
それは僕がアリコートの響きを余り好きではないことだ。なにしろ可児のベヒシュタインBも総アグラフ、アリコートなしの最終モデルを選んだくらいだ。これは時代の流れだ。仕方がないものか。
さて、弾いてみよう。やはりアリコートの共鳴が効いて高域が明るく延びて行く。立ち上がりの速い音作りはさすがだ。しかし、耳障りで硬質な音ではない。実音の音鳴りがしっかりしているからだろう。最初の弾き始めのBの音を1の指で弾く、次に2の指で弾く。ハッキリと弾き応えが異なる。1の指で結構柔らかめの鍵盤の反応だ。2の指では固めの反応を感じる。1の指での弾き始めの方がしっくりくるようだ。弾いていこう。鍵盤の感じは軽めだ。表現を付けるためのダイナミクスは指のダウンのスピードでコントロールされる。指のスピードはスピードで捕らえるのではなく、深さで捕らえるのが僕の方法だ。なぜなら、同秒間に進む指の距離が異なれば、スピードも変化するからだ。
良く反応してくれる。最初に感じたボリューム感は弱音から強音まで失うことなく存在する。モノフォニーの作品で、メロディーラインの弱音で音が薄くなるのは困るのだが、そんなこともなく良く伴奏部に乗ってくれる。アリコートのキンという響きが乗るのは致し方のないところか。
次に大音量を試そう。弾く曲はリストのバラード2番の中間部だ。
おお!これは良い。僕はリストの作品が大好きだ。手が小さくて弾ける曲が少ないのが悲しいのだが。迫力あるね。本当に小型ピアノか?響板から音があふれ出てくるようだ。
響板を見てみよう。白く美しいとうひ材だ。贅沢な響板だ。国産メーカーのカタログから響板の記述が消えつつある時代、この響板はすばらしい。鉄骨はねずみ鋳鉄で叩いてみるとコツコツという。嫌な金属音を持たない鉄骨だ。ベヒシュタインならではの設計哲学が活かされている。リストの強音でありながらロマンシティズムを表現するならベストだ。
これは良いピアノにめぐり会った。多分、数年すると更に良く鳴るようになるだろう。楽しみだ。